[アップデート] Amazon FSx for Windows File Serverでより高パフォーマンスな設定が可能になりました
しばたです。
先日開催されたAWS Storage Day 2023に合わせるかたちでストレージ周りの更新が多く発表されました。
このうちAmazon FSx for Windows File Server(以後FSx for Windows)ではより高パフォーマンスを発揮できる様にする2つの更新がアナウンスされました。
1. SSDストレージに対して追加のIOPSを設定可能になりました
FSx for Windowsのパフォーマンス設定は大別して
- ストレージタイプおよびボリュームサイズに応じたパフォーマンス
- 「スループットキャパシティ」設定によるパフォーマンス
の二種類あり、このうち前者に関してはSSD、HDDボリュームそれぞれ以下の最大パフォーマンスが定められていました。
ストレージタイプ | ディスクスループット | ディスクIOPS |
---|---|---|
SSD | 1TiBあたり 750 MB/sec | 1TiBあたり 3000 IOPS |
HDD | 1TiBあたり ベースライン 12 MB/sec (バースト 80 MB/sec) | 1TiBあたり ベースライン 12 IOPS (バースト IOPS) |
今回の更新でSSDボリュームに対してはさらに追加で最大350000 IOPS[1]までユーザーが個別に指定可能になりました。
たとえば1000 GiBのSSDボリュームであれば、従来は3000 IOPS
の自動設定でしたが今は3000 ~ 350000 IOPS
の範囲で利用者が指定可能になっています。
利用料金
利用料金に関しては以下の記述となっています。
By default, 3 IOPS are included for every GB of SSD storage. You can optionally provision a higher level of IOPS, and you pay for the average IOPS provisioned above your included rate for the month, measured in "IOPS-Months".
従来の1TiBあたり3000IOPS(3 IOPS/GiB)の部分を超えるものに対して毎月の設定値を平均した分が課金対象になります。
単価はリージョンによって変わりますが本日(2023年8月)時点の東京リージョンにおいては以下の通りです。
Single-AZ環境 | Multi-AZ環境 |
---|---|
0.014 USD/IOPS-month | 0.029 USD/IOPS-month |
たとえば東京リージョンでSingle AZ SSD 1000GiBに対して手動で5000 IOPSに設定した場合、
- 従来の3000 IOPSの領域は追加料金無し
- 追加の2000 IOPSの領域が課金対象
となり
- 2000 IOPS x 0.014 USD/IOPS-month → 28 USD
が毎月の追加料金となります。
設定画面
設定画面はこんな感じです。
今回新たに「自動」「ユーザープロビジョンド」の2パターン選択可能になっており、「ユーザープロビジョンド」を指定した際に独自のIOPS値を設定可能となっています。
ちなみに3 IOPS/GiBを下回る値にすることは出来ません。
設定変更時
実際に環境を作った後の画面はこんな感じで更新可能になっています。
(料金節約のため少ないボリュームサイズ・IOPSで実環境を作っています。)
IOPS値を更新する際は減らすことも可能です。
変更すると「スループットキャパシティ」同様「更新」欄で進行状況が確認できます。
注意事項
設定変更ダイアログに記載されていますが一度内容を変更した場合は6時間待つ必要があります。
ファイルシステムのストレージタイプ、スループットキャパシティ、またはプロビジョンド SSD IOPS を変更した後、同じファイルシステム上でこれらの設定のいずれかを再度変更するまでに、少なくとも 6 時間待つ必要があります。
6時間以内で続けて変更しようとするとエラーになります。
After updating the storage type, throughput capacity, or provisioned SSD IOPS of a file system, you must wait at least 6 hours before initiating another such request.
2. スループットキャパシティ設定が最大 12GB/sec まで引き上げられました
もう一つの更新はシンプルで「スループットキャパシティ」設定の最大性能が2048MB/sec
から12288MB/Sec
になりました。
今回新たに
- 4608 MB/sec
- 6144 MB/sec
- 9216 MB/sec
- 12288 MB/sec
の設定が追加されています。
各値の性能指標についてはAWSのドキュメントをご覧ください。
(一応追加分だけ転記)
なお、本日時点では利用可能リージョンがバージニア北部、オハイオ、オレゴン、アイルランド、東京、シンガポールに限定されていますのでご注意ください。
たとえば大阪リージョンはまだ2048MB/secが上限となります。
設定画面
指定可能な値が増えた以外は何も変わりありません。
注意事項
先述の6時間変更できない制限はスループットキャパシティも影響を受けます。
先にSSDのIOPSを変更した場合、スループットキャパシティの変更も6時間不可能になるのでご注意ください。
また、ドキュメントにも記載されていますが、Multi-AZ構成で最大スループットの12288 MB/secを指定した場合は書き込み性能が「9000 MBps/sec、 262500 IOPS」に制限されるとのことです。
Multi-AZ構成でも読み込み性能は制限されず、また、Single-AZ構成の場合は書き込み・読み込みともに制限されません。
適用可能な環境
AWSのアナウンスによれば
- 追加のIOPS指定 : 新規環境、既存環境ともすべて可能
- 追加のスループットキャパシティ : 新規環境は可能、既存環境は今後のメンテナンスで随時利用可能にしていく
とのことです。
既存環境でスループットキャパシティを更新できない場合はもうしばらくお待ちください。
最後に
簡単ですが以上となります。
これまで以上に柔軟な設定ができる様になりました。
従来とくらべてかなり高パフォーマンスな設定が出来る様になったことで多くのユースケースで活用できそうですね。
ドキュメントに記載が無いが、後述のスループットキャパシティの上限が引き上げられていないリージョンではMax 80000 IOPSまでの模様 ↩︎